前歯だけの部分矯正
歯列全体を動かして歯並びを整える通常の矯正治療とは異なり、前歯などの気になる一部分の歯並びだけを整える歯列矯正を、「部分矯正(MTM: Minor Tooth Movement)」といいます。軽度のデコボコした前歯や前歯の隙間、矯正後の後戻り、軽度の八重歯などでお悩みがある方は、骨格やかみ合わせに問題がなければ部分矯正で歯並びを改善できる場合があります。部分矯正は全体矯正に比べて短期間で気軽に治療できる一方で、適応症例が限られているため、矯正治療の知識と経験が豊富な歯科医師による精密な診断が必要です。無理な部分矯正を行ってしまうと、全体の歯並びの崩れやかみ合わせの不調を引き起こしてしまいます。歯並びで気になる箇所がある方は、当院にお気軽にご相談ください。
部分矯正のメリット・デメリット
メリット
治療期間が短い
全体的な歯並びではなく、部分的な歯並びを矯正する方法のため、比較的短い期間での治療が可能です。
治療にかかる費用を抑えられる
治療期間が短く、矯正器具を装着する歯が少ない分、治療費を抑えることができます。
負担が少ない
動かす歯が少ないため、痛みも最小限に抑えられます。また、矯正装置を装着する範囲が少なく期間も短いため、精神的にも負担が少ない治療です。
デメリット
重度の不正咬合には適応できない
歯の生え方ではなく骨格の問題で生じている出っ歯や受け口、歯の生えるスペースの不足で生じている重度の歯並びのデコボコや八重歯には、部分矯正治療は適応できません。
かみ合わせの改善はできない
部分矯正は歯並びの部分的な見た目の改善をする治療であり、咀嚼や発音などの歯本来の機能を改善するためのかみ合わせの治療はできません。
部分矯正で使用する矯正装置
マウスピース矯正(インビザライン)
マウスピース矯正(インビザライン)は歯科用プラスチック製の着脱可能なマウスピースを使った治療法です。部分矯正でも歯列全体にマウスピースを装着しますが、薄く目立ちにくいマウスピースなので周りに気づかれにくいです。一定期間ごとに新しい形のマウスピースに取り替え、少しずつ歯を動かします。
表側矯正
表側矯正はブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす治療法です。細かい調整が可能で、部分矯正の場合は装着する歯の数も少ないのでお手入れがしやすいです。
舌側矯正（裏側矯正）
舌側矯正はブラケットを歯の裏側に装着し、そこに通したワイヤーの力で歯並びを整える治療法です。装置が歯の裏側に付いているので目立ちにくく、周囲の方に気づかれたくない方や、イベントを控えている方にも適しています。